魂を剥ぎたくて
2018年2月23日 Magic: The Gathering コメント (9)■あらすじ
グランプリ・マドリードとグランプリ・京都のチーム連戦でモダンを担当するため、日々モダンにいそしむのだった。
■魂剥ぎの始まり
きっかけはグランプリ・リヨン。フィーチャーテーブルに颯爽と現れた《魂剥ぎ/Soulflayer》、そして《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を止める《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》の姿に心を奪われた人も多いのではないだろうか。
グランプリ・リヨン 9勝6敗
メインボード:60
4《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
4《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
1《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
2《草むした墓/Overgrown Tomb》
1《血の墓所/Blood Crypt》
1《神無き祭殿/Godless Shrine》
1《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
2《黒割れの崖/Blackcleave Cliffs》
1《花盛りの湿地/Blooming Marsh》
1《森/Forest》
1《沼/Swamp》
4《恐血鬼/Bloodghast》
4《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》
4《ロッテスのトロール/Lotleth Troll》
4《魂剥ぎ/Soulflayer》
4《森の女人像/Sylvan Caryatid》
4《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》
3《火花の精霊/Spark Elemental》
1《ファルケンラスの貴種/Falkenrath Aristocrat》
4《信仰無き物あさり/Faithless Looting》
4《忌まわしい回収/Grisly Salvage》
3《未練ある魂/Lingering Souls》
2《神々との融和/Commune with the Gods》
サイドボード:15
3《凶暴な召喚/Savage Summoning》
3《集団的蛮行/Collective Brutality》
3《突然の衰微/Abrupt Decay》
2《稲妻の斧/Lightning Axe》
2《古えの遺恨/Ancient Grudge》
1《未練ある魂/Lingering Souls》
1《摩耗+損耗/Wear+Tear》
《魂剥ぎ/Soulflayer》によるビートダウンを《恐血鬼/Bloodghast》や《未練ある魂/Lingering Souls》でバックアップする構成となっている。
《魂剥ぎ/Soulflayer》は2種類の二段攻撃持ちクリーチャーによりほぼ確実に二段攻撃が付くため、16点を削る砲弾とでき、それを削る手段として《恐血鬼/Bloodghast》を採用したのだろう。
《火花の精霊/Spark Elemental》にも最初は疑問を持ったが、このカードが「能動的に墓地に落ちて」「速効とトランプルを持っている」クリーチャーであることを、テキストを読んで理解して、腑に落ちた。
先に話した《魂剥ぎ/Soulflayer》による16点ダメージの上乗せとして優秀でかつ、《魂剥ぎ/Soulflayer》に速攻を付与することができるのだ。
なかなか理にかなったリストで、何よりもフィーチャーマッチを見た瞬間にネットで《魂剥ぎ/Soulflayer》と《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》を注文して、Magic Onlineでも買ってしまっていたため、どうせなら使い倒そうということで、《魂剥ぎ/Soulflayer》を少し回してみることにした。
■魂剥ぎ、一人回し
というわけでリヨンのリストを一人回しし始めた。
まず感じたのは、《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》による進化だ。
《魂剥ぎ/Soulflayer》と言えば、元々は《彩色マンティコア/Chromanticore》を採用するのが一般的だったが、これには大きな問題があった。
それは、『二段攻撃の他に強力な能力を持つクリーチャーが《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》以外にいなかったため、少し弱いクリーチャーを採用せざるを得なかった』のだ。
二段攻撃を持っているという理由だけで《ヴィーアシーノの殺戮士/Viashino Slaughtermaster》が入っていたぐらい、と言えば伝わるだろうか。
その点を、《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》はクリアした。強い二段攻撃クリーチャーでありながら、飛行もきちんと持ち、そして破壊不能と除去体制も持っている。
《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》と呪禁クリーチャーを追放するだけで、《魂剥ぎ/Soulflayer》はすさまじいスペックのクリーチャーになるのだ。
《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》によって《魂剥ぎ/Soulflayer》は確実に、次のステージへと上がった。
だが一人回しを経てフレンドリーリーグに入ると、問題はいくつも出てきた。
・《恐血鬼/Bloodghast》、《未練ある魂/Lingering Souls》が弱い
《魂剥ぎ/Soulflayer》で16点入れた後の押しの一発とは言ったものの、《魂剥ぎ/Soulflayer》が戦場に出てしまえば、次のターンには更に8点が入るのだ。
勿論、1ターン差の勝負になりやすいモダンでは、次の殴れるターンが来るかはわからない。それを《恐血鬼/Bloodghast》は埋めてくれるかもしれない。だがそれよりも、《魂剥ぎ/Soulflayer》を引かない時の《恐血鬼/Bloodghast》が弱くて仕方がなかったのだ。
これは、《魂剥ぎ/Soulflayer》を引かなかった時にデッキが全く攻撃手段を持たないからである。
デッキに攻めるカードが多数入っている場合、《恐血鬼/Bloodghast》や《未練ある魂/Lingering Souls》は攻める手段として優秀だろう。
だが《魂剥ぎ/Soulflayer》デッキは、《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》や《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》といった不純物が多く、相手にプレッシャーを与える手段をほとんど持っていない。
中途半端に展開したところで、《魂剥ぎ/Soulflayer》を引かなければどうにもならないし、1/1飛行や何度でも戻ってくる2/1には価値がないのだ。
・《魂剥ぎ/Soulflayer》を引く手段が少ない
前述の通り、《魂剥ぎ/Soulflayer》を引かなければならないのがこのデッキなのだが、それにしては引く手段が少ない。
赤青ストームには4枚の《けちな贈り物/Gifts Ungiven》が入っていて、それを引くことがメインの勝ち手段となる。ストームには、何枚のドロー呪文が入っているだろうか?
《血清の幻視/Serum Visions》・《手練/Sleight of Hand》・《選択/Opt》・《差し戻し/Remand》・《魔力変/Manamorphose》。
そう、4枚のカードを引くためにこれだけのドロースペルが採用されている。
一方で、《魂剥ぎ/Soulflayer》には《忌まわしい回収/Grisly Salvage》と《神々との融和/Commune with the Gods》、そして《信仰無き物あさり/Faithless Looting》のみ。
デッキを回していても、とにかく《魂剥ぎ/Soulflayer》が引けなくて負けることが多かった。
・呪禁を得る手段が少ない
そして《魂剥ぎ/Soulflayer》を引いて。また問題が起きる。今度は呪禁クリーチャーが墓地に落ちていないのだ。
《森の女人像/Sylvan Caryatid》は確かに優秀な呪禁クリーチャーで、デッキにすんなりと4枚入る。だが問題は、墓地に落ちにくいという点だ。
《忌まわしい回収/Grisly Salvage》や《神々との融和/Commune with the Gods》で墓地に落ちてくれるのが理想だが、毎回そう上手くもいかない。手札に引いたら、《ロッテスのトロール/Lotleth Troll》や《信仰無き物あさり/Faithless Looting》のためにとっておかなければならない。
せっかく、普通に唱えて優秀なクリーチャーなはずなのに、だ。
このデッキは《魂剥ぎ/Soulflayer》に依存しており、一度唱えた《魂剥ぎ/Soulflayer》が除去されてはならない。
《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》によって破壊不能こそ付くが、破壊不能は除去耐性というには貧弱すぎる。
《流刑への道/Path to Exile》、《解放された者、カーン/Karn Liberated》、《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger》と、これらの追放手段に対処できるのが呪禁であり、呪禁クリーチャーを墓地に落とすということは、《魂剥ぎ/Soulflayer》を引くことと同じぐらい、重要なことなのだ。
だが、このデッキにはたった4枚の《森の女人像/Sylvan Caryatid》しか入っていないのだ。しかも唱えて強い《森の女人像/Sylvan Caryatid》は、いざ引いた時に唱えるかどうか迷わなければならない。
まとめると、このデッキには、「能動的に墓地に落ちる呪禁クリーチャー」と「呪禁クリーチャーの絶対数」の2つが足りなかったのである。
■魂剥ぎver1
というわけで、一からデッキを作ってみることにした。まずはリスト。
メインボード:60
4《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
4《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
4《霧深い雨林/Misty Rainforest》
2《草むした墓/Overgrown Tomb》
1《湿った墓/Watery Grave》
1《神無き祭殿/Godless Shrine》
1《血の墓所/Blood Crypt》
1《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
1《沼/Swamp》
1《森/Forest》
4《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》
4《ロッテスのトロール/Lotleth Troll》
4《バザールの大魔術師/Magus of the Bazaar》
4《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》
4《森の女人像/Sylvan Caryatid》
4《狂信的扇動者/Fanatical Firebrand》
4《魂剥ぎ/Soulflayer》
3《縞カワヘビ/Striped Riverwinder》
4《忌まわしい回収/Grisly Salvage》
4《信仰無き物あさり/Faithless Looting》
1《集団的蛮行/Collective Brutality》
サイドボード:15
4《思考囲い/Thoughtseize》
2《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
2《古えの遺恨/Ancient Grudge》
2《突然の衰微/Abrupt Decay》
2《致命的な一押し/Fatal Push》
2《集団的蛮行/Collective Brutality》
1《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
■カード選択
一からデッキを作り直すに当たって、デッキで必ず必要に感じたカードから埋めてみることにした。
以下、カードを種類別に解説。
・4《魂剥ぎ/Soulflayer》
説明不要。最強。このカードを1枚引けるかどうかでこのデッキは勝てるし、負ける。
《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》と呪禁を付与するだけで大体は解決する。
《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》と呪禁だと《忘却石/Oblivion Stone》、《至高の評決/Supreme Verdict》に引っかかってしまうので注意。とはいえそれらが入っていないデッキには安心してこのセットで出せる。
・4《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》/4《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》
どちらも《魂剥ぎ/Soulflayer》で追放したいカードのため、4枚ずつ。どちらか+呪禁を追放すれば良いため、《忌まわしい回収/Grisly Salvage》の落ちが多少悪いぐらいなら、安定して《魂剥ぎ/Soulflayer》を最強状態で戦場に送り出せる。
どちらも素で唱えることが難しいカードではあるのだが、墓地にしっかり落としておかなければ《魂剥ぎ/Soulflayer》は機能しない。
このデッキは《魂剥ぎ/Soulflayer》を機能させなければ勝てず、サブプランなどをメインボードで用意するのは無意味だと考える。
《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》・《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》の枚数を減らせばブン回る確率は落ちて《魂剥ぎ/Soulflayer》のバリューは落ちるし、8枚の不要牌が入ったデッキでビートダウンを仕掛けるのは得策ではない。
数多く存在するクリーチャーコンボデッキには、サブの勝ち手段として「普通にビートダウンする」が存在するが、それはあくまでデッキのコンボパーツが普通にビートダウンとしても強力なカードだからに過ぎない(例:アブザンカンパニーの《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》
《魂剥ぎ/Soulflayer》デッキでは《魂剥ぎ/Soulflayer》のために、どうしてもデッキに「どうしようもないカード」を入れざるを得なくなる。それならば、コンボを確実に決めることに振り切るのが良いと考えている。
・4《森の女人像/Sylvan Caryatid》
呪禁枠として。《忌まわしい回収/Grisly Salvage》とどちらも持っている場合は《森の女人像/Sylvan Caryatid》から出して3ターン目に《忌まわしい回収/Grisly Salvage》を唱えるとグッド。
マナを増やすことにさほどのメリットはないものの、呪禁カードで使用に耐えうるものとして入っている。
こちらについては後述の《縞カワヘビ/Striped Riverwinder》の方がより強かったため、今は枚数が逆転している。
・3《縞カワヘビ/Striped Riverwinder》
呪禁枠その2にして、青を入れることにした最大の理由。
サイクリングすることで墓地に能動的に呪禁を送り込むことができ、墓地肥やしになるため《魂剥ぎ/Soulflayer》の探査を助け、ついでに《魂剥ぎ/Soulflayer》に辿り着きやすくするというスーパーカード。
《森の女人像/Sylvan Caryatid》の場合は手札にあった時、墓地に落とす手段が必要となるのだが、《縞カワヘビ/Striped Riverwinder》ならば勝手に落ちてくれる。
こちらを4枚にして《森の女人像/Sylvan Caryatid》を3枚にすべきだったため、この後のリストでは《縞カワヘビ/Striped Riverwinder》が4枚になっている。
・4《狂信的扇動者/Fanatical Firebrand》
速攻枠。《魂剥ぎ/Soulflayer》に速攻を付与するのは非常に重要で、《死の影/Death’s Shadow》デッキ相手であればライフをいきなりすべて削り切れるため、重要となってくる。
その速攻クリーチャーの中で最も強力なのが《狂信的扇動者/Fanatical Firebrand》。モダンでは《貴族の教主/Noble Hierarch》、《信号の邪魔者/Signal Pest》をはじめ、多くのタフネス1クリーチャーが存在する。
能動的に墓地に落とせる速攻クリーチャーとして一番強力に感じた。
ちなみに次点で採用しようと考えていた速攻クリーチャーは《ボーマットの急使/Bomat Courier》と《獣呼びの学者/Beastcaller Savant》。
・4《バザールの大魔術師/Magus of the Bazaar》
これは比較的最後の方に決まった1枚。
《魂剥ぎ/Soulflayer》を引きに行くカードがほしく、その中で「手札に来たカードを処理する手段」として優秀だったため、採用。使用感としては可もなく不可もなく。
クリーチャーであることで除去されてしまうという不安はあるものの、除去のために相手がテンポを損なうことは、悪くない。残った時の勝利貢献度の高さから、《航路の作成/Chart a Course》などよりも優先することにした。
・4《ロッテスのトロール/Lotleth Troll》
手札からカードを捨てる手段圏としてそのまま4枚入れていたが、、この枠が最も微妙に感じた。
というのも、「手札に余った《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》や《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》を捨てたい」という場面よりも、《魂剥ぎ/Soulflayer》が引きたいと思う時の方が圧倒的に多かったのだ。
このデッキにはビートダウンとしての価値を《ロッテスのトロール/Lotleth Troll》に求めてはいないし、手札を捨てるだけならば他にいくらでもカードはある。
このカードは後に別のカードへと変わった。
・4《信仰無き物あさり/Faithless Looting》/4《忌まわしい回収/Grisly Salvage》
どちらも強力なカードで、このカードのためだけに赤と緑が入っていると言っても過言ではない。
《魂剥ぎ/Soulflayer》を引き込む手段と墓地にカードを仕込む二つの役割をやってのける。まず抜くことはない。
・1《集団的蛮行/Collective Brutality》
自由枠。
使った感想は可もなく不可もなく。ただ、《ロッテスのトロール/Lotleth Troll》よりはこちらの方が強いと感じた。
■平日大会の結果と改良後のリスト
トロン・ジャンド死の影・ジェスカイコントロールに勝利して結果は3勝0敗。
かなり最初に感じていた不満点は解消されたが、《魂剥ぎ/Soulflayer》を引きたいな、という場面がやはり多かった。
デッキで不要に感じた《ロッテスのトロール/Lotleth Troll》を抜いて、サイドボードをいじったリストがこれ。
メインボード:60
4《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
4《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
4《汚染された三角州/Polluted Delta》
2《湿った墓/Watery Grave》
2《草むした墓/Overgrown Tomb》
1《血の墓所/Blood Crypt》
1《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
1《繁殖池/Breeding Pool》
1《沼/Swamp》
4《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》
4《バザールの大魔術師/Magus of the Bazaar》
4《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》
4《狂信的扇動者/Fanatical Firebrand》
4《魂剥ぎ/Soulflayer》
4《縞カワヘビ/Striped Riverwinder》
3《森の女人像/Sylvan Caryatid》
4《忌まわしい回収/Grisly Salvage》
4《信仰無き物あさり/Faithless Looting》
2《有事対策/Contingency Plan》
2《テイガムの策謀/Taigam’s Scheming》
1《ゾンビの横行/Zombie Infestation》
サイドボード:15
4《思考囲い/Thoughtseize》
3《突然の衰微/Abrupt Decay》
3《集団的蛮行/Collective Brutality》
2《最後のトロール、スラーン/Thrun, the Last Troll》
2《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
1《神無き祭殿/Godless Shrine》
最新のリスト。
《有事対策/Contingency Plan》、《テイガムの策謀/Taigam’s Scheming》は手札こそ増えないものの、《魂剥ぎ/Soulflayer》を探す能力に関しては《忌まわしい回収/Grisly Salvage》と同レベルの強さ。
手札が増えないデメリットは、このデッキでは全く気にならない。というのも、サブの勝ち手段を持たず、《魂剥ぎ/Soulflayer》をとにかく出したいこのデッキでは、手札が何枚だろうとも関係ない。極端な話、手札は0枚でもいいのだ。
そのため、《有事対策/Contingency Plan》と《テイガムの策謀/Taigam’s Scheming》をそれぞれ入れることにした。一応《翻弄する魔道士/Meddling Mage》対策だけども、《魂剥ぎ/Soulflayer》を指定されたら負ける。
サイドボード後は手札も多少重要になる。《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》などがあるため、そこと入れ替える。
ちなみにデッキトップに置いておくと、手札破壊を避けられるため、意外と強力。デスシャドウにはこれでトップに《魂剥ぎ/Soulflayer》を乗せて《思考囲い/Thoughtseize》を避けて勝ったりする。
《ロッテスのトロール/Lotleth Troll》を抜いたことで手札を捨てる手段がないため、《ゾンビの横行/Zombie Infestation》を入れているが、《集団的蛮行/Collective Brutality》でも構わない。一応、先手2ターン目に手札を2枚捨てたい状況がないとも限らないため、入れてみた。4枚一気に捨てられるのは魅力的。
■色の強弱
《魂剥ぎ/Soulflayer》デッキを組む上で考えていた色の強弱とその理由。
これからデッキを組もうと思う際の参考になれば。
1位・黒
《魂剥ぎ/Soulflayer》が入っているため仕方なく。ちなみに《魂剥ぎ/Soulflayer》が青かったら本当に最高で、黒はランキングで4位に落ちる。
2位・赤
《信仰無き物あさり/Faithless Looting》が使用できる赤は青と同列で2位となる。
このカード以外に赤の利点はほとんどないが、それだけで2位になるほど《信仰無き物あさり/Faithless Looting》は強いカード。絶対に入れるべき。
2位・青
そして同列となるのが青。これは《テイガムの策謀/Taigam’s Scheming》ではなく、《縞カワヘビ/Striped Riverwinder》。
呪禁を付与するというのは《魂剥ぎ/Soulflayer》デッキで最も大事なことの一つ。
《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》や《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》を追放しなければ《魂剥ぎ/Soulflayer》を出せないため、除去されたら2枚目を出す、ということはなかなか容易ではない。1枚目を対処されるわけにはいかないのだ。
そのため、呪禁は確実に付与しなければならず、《縞カワヘビ/Striped Riverwinder》は呪禁を付ける手段として最も強力で、それでいて軽い。
このカードを採用できる青は、《魂剥ぎ/Soulflayer》デッキでは必須となる。
3位・緑
そして緑はこの位置。緑で重要なカードは《忌まわしい回収/Grisly Salvage》のみ。極端な話、《森の女人像/Sylvan Caryatid》でなくとも呪禁クリーチャーはなんでも良い。
《忌まわしい回収/Grisly Salvage》も《テイガムの策謀/Taigam’s Scheming》・《有事対策/Contingency Plan》という類似カードがある以上、必須ではない。
《魂剥ぎ/Soulflayer》デッキを考えるのであれば、緑を入れないバージョンも考慮に入れて良いだろう。
4位・白
《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》を上手く使えると面白そう、と考えたものの、基本的に白は弱い。
墓地を肥やしてデッキを掘り進めるカードがないためだ。
■おわりに
魂剥ぎデッキを考えたり回したりした時間は2日ほどだ。これまで魂剥ぎデッキを回したこともない。だからこの記事はプレイガイドやデッキガイドという大それたものではない。
《魂剥ぎ/Soulflayer》はとても特殊なデッキゆえにブラッシュアップの際に色んなカードが選択肢に上がって、またいつもは「コンボデッキで増やすのが好きだった勝ち手段をあえて減らしてコンボのみに絞る」構築をしたのがなんとなく楽しくて、文字にしてみた。
グランプリ・マドリード、グランプリ・京都についてはだいぶデッキが絞れてきたから、次はそのデッキガイドをかければいいなぁ。
グランプリ・マドリードとグランプリ・京都のチーム連戦でモダンを担当するため、日々モダンにいそしむのだった。
■魂剥ぎの始まり
きっかけはグランプリ・リヨン。フィーチャーテーブルに颯爽と現れた《魂剥ぎ/Soulflayer》、そして《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を止める《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》の姿に心を奪われた人も多いのではないだろうか。
グランプリ・リヨン 9勝6敗
メインボード:60
4《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
4《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
1《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
2《草むした墓/Overgrown Tomb》
1《血の墓所/Blood Crypt》
1《神無き祭殿/Godless Shrine》
1《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
2《黒割れの崖/Blackcleave Cliffs》
1《花盛りの湿地/Blooming Marsh》
1《森/Forest》
1《沼/Swamp》
4《恐血鬼/Bloodghast》
4《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》
4《ロッテスのトロール/Lotleth Troll》
4《魂剥ぎ/Soulflayer》
4《森の女人像/Sylvan Caryatid》
4《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》
3《火花の精霊/Spark Elemental》
1《ファルケンラスの貴種/Falkenrath Aristocrat》
4《信仰無き物あさり/Faithless Looting》
4《忌まわしい回収/Grisly Salvage》
3《未練ある魂/Lingering Souls》
2《神々との融和/Commune with the Gods》
サイドボード:15
3《凶暴な召喚/Savage Summoning》
3《集団的蛮行/Collective Brutality》
3《突然の衰微/Abrupt Decay》
2《稲妻の斧/Lightning Axe》
2《古えの遺恨/Ancient Grudge》
1《未練ある魂/Lingering Souls》
1《摩耗+損耗/Wear+Tear》
《魂剥ぎ/Soulflayer》によるビートダウンを《恐血鬼/Bloodghast》や《未練ある魂/Lingering Souls》でバックアップする構成となっている。
《魂剥ぎ/Soulflayer》は2種類の二段攻撃持ちクリーチャーによりほぼ確実に二段攻撃が付くため、16点を削る砲弾とでき、それを削る手段として《恐血鬼/Bloodghast》を採用したのだろう。
《火花の精霊/Spark Elemental》にも最初は疑問を持ったが、このカードが「能動的に墓地に落ちて」「速効とトランプルを持っている」クリーチャーであることを、テキストを読んで理解して、腑に落ちた。
先に話した《魂剥ぎ/Soulflayer》による16点ダメージの上乗せとして優秀でかつ、《魂剥ぎ/Soulflayer》に速攻を付与することができるのだ。
なかなか理にかなったリストで、何よりもフィーチャーマッチを見た瞬間にネットで《魂剥ぎ/Soulflayer》と《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》を注文して、Magic Onlineでも買ってしまっていたため、どうせなら使い倒そうということで、《魂剥ぎ/Soulflayer》を少し回してみることにした。
■魂剥ぎ、一人回し
というわけでリヨンのリストを一人回しし始めた。
まず感じたのは、《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》による進化だ。
《魂剥ぎ/Soulflayer》と言えば、元々は《彩色マンティコア/Chromanticore》を採用するのが一般的だったが、これには大きな問題があった。
それは、『二段攻撃の他に強力な能力を持つクリーチャーが《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》以外にいなかったため、少し弱いクリーチャーを採用せざるを得なかった』のだ。
二段攻撃を持っているという理由だけで《ヴィーアシーノの殺戮士/Viashino Slaughtermaster》が入っていたぐらい、と言えば伝わるだろうか。
その点を、《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》はクリアした。強い二段攻撃クリーチャーでありながら、飛行もきちんと持ち、そして破壊不能と除去体制も持っている。
《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》と呪禁クリーチャーを追放するだけで、《魂剥ぎ/Soulflayer》はすさまじいスペックのクリーチャーになるのだ。
《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》によって《魂剥ぎ/Soulflayer》は確実に、次のステージへと上がった。
だが一人回しを経てフレンドリーリーグに入ると、問題はいくつも出てきた。
・《恐血鬼/Bloodghast》、《未練ある魂/Lingering Souls》が弱い
《魂剥ぎ/Soulflayer》で16点入れた後の押しの一発とは言ったものの、《魂剥ぎ/Soulflayer》が戦場に出てしまえば、次のターンには更に8点が入るのだ。
勿論、1ターン差の勝負になりやすいモダンでは、次の殴れるターンが来るかはわからない。それを《恐血鬼/Bloodghast》は埋めてくれるかもしれない。だがそれよりも、《魂剥ぎ/Soulflayer》を引かない時の《恐血鬼/Bloodghast》が弱くて仕方がなかったのだ。
これは、《魂剥ぎ/Soulflayer》を引かなかった時にデッキが全く攻撃手段を持たないからである。
デッキに攻めるカードが多数入っている場合、《恐血鬼/Bloodghast》や《未練ある魂/Lingering Souls》は攻める手段として優秀だろう。
だが《魂剥ぎ/Soulflayer》デッキは、《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》や《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》といった不純物が多く、相手にプレッシャーを与える手段をほとんど持っていない。
中途半端に展開したところで、《魂剥ぎ/Soulflayer》を引かなければどうにもならないし、1/1飛行や何度でも戻ってくる2/1には価値がないのだ。
・《魂剥ぎ/Soulflayer》を引く手段が少ない
前述の通り、《魂剥ぎ/Soulflayer》を引かなければならないのがこのデッキなのだが、それにしては引く手段が少ない。
赤青ストームには4枚の《けちな贈り物/Gifts Ungiven》が入っていて、それを引くことがメインの勝ち手段となる。ストームには、何枚のドロー呪文が入っているだろうか?
《血清の幻視/Serum Visions》・《手練/Sleight of Hand》・《選択/Opt》・《差し戻し/Remand》・《魔力変/Manamorphose》。
そう、4枚のカードを引くためにこれだけのドロースペルが採用されている。
一方で、《魂剥ぎ/Soulflayer》には《忌まわしい回収/Grisly Salvage》と《神々との融和/Commune with the Gods》、そして《信仰無き物あさり/Faithless Looting》のみ。
デッキを回していても、とにかく《魂剥ぎ/Soulflayer》が引けなくて負けることが多かった。
・呪禁を得る手段が少ない
そして《魂剥ぎ/Soulflayer》を引いて。また問題が起きる。今度は呪禁クリーチャーが墓地に落ちていないのだ。
《森の女人像/Sylvan Caryatid》は確かに優秀な呪禁クリーチャーで、デッキにすんなりと4枚入る。だが問題は、墓地に落ちにくいという点だ。
《忌まわしい回収/Grisly Salvage》や《神々との融和/Commune with the Gods》で墓地に落ちてくれるのが理想だが、毎回そう上手くもいかない。手札に引いたら、《ロッテスのトロール/Lotleth Troll》や《信仰無き物あさり/Faithless Looting》のためにとっておかなければならない。
せっかく、普通に唱えて優秀なクリーチャーなはずなのに、だ。
このデッキは《魂剥ぎ/Soulflayer》に依存しており、一度唱えた《魂剥ぎ/Soulflayer》が除去されてはならない。
《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》によって破壊不能こそ付くが、破壊不能は除去耐性というには貧弱すぎる。
《流刑への道/Path to Exile》、《解放された者、カーン/Karn Liberated》、《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger》と、これらの追放手段に対処できるのが呪禁であり、呪禁クリーチャーを墓地に落とすということは、《魂剥ぎ/Soulflayer》を引くことと同じぐらい、重要なことなのだ。
だが、このデッキにはたった4枚の《森の女人像/Sylvan Caryatid》しか入っていないのだ。しかも唱えて強い《森の女人像/Sylvan Caryatid》は、いざ引いた時に唱えるかどうか迷わなければならない。
まとめると、このデッキには、「能動的に墓地に落ちる呪禁クリーチャー」と「呪禁クリーチャーの絶対数」の2つが足りなかったのである。
■魂剥ぎver1
というわけで、一からデッキを作ってみることにした。まずはリスト。
メインボード:60
4《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
4《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
4《霧深い雨林/Misty Rainforest》
2《草むした墓/Overgrown Tomb》
1《湿った墓/Watery Grave》
1《神無き祭殿/Godless Shrine》
1《血の墓所/Blood Crypt》
1《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
1《沼/Swamp》
1《森/Forest》
4《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》
4《ロッテスのトロール/Lotleth Troll》
4《バザールの大魔術師/Magus of the Bazaar》
4《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》
4《森の女人像/Sylvan Caryatid》
4《狂信的扇動者/Fanatical Firebrand》
4《魂剥ぎ/Soulflayer》
3《縞カワヘビ/Striped Riverwinder》
4《忌まわしい回収/Grisly Salvage》
4《信仰無き物あさり/Faithless Looting》
1《集団的蛮行/Collective Brutality》
サイドボード:15
4《思考囲い/Thoughtseize》
2《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
2《古えの遺恨/Ancient Grudge》
2《突然の衰微/Abrupt Decay》
2《致命的な一押し/Fatal Push》
2《集団的蛮行/Collective Brutality》
1《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
■カード選択
一からデッキを作り直すに当たって、デッキで必ず必要に感じたカードから埋めてみることにした。
以下、カードを種類別に解説。
・4《魂剥ぎ/Soulflayer》
説明不要。最強。このカードを1枚引けるかどうかでこのデッキは勝てるし、負ける。
《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》と呪禁を付与するだけで大体は解決する。
《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》と呪禁だと《忘却石/Oblivion Stone》、《至高の評決/Supreme Verdict》に引っかかってしまうので注意。とはいえそれらが入っていないデッキには安心してこのセットで出せる。
・4《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》/4《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》
どちらも《魂剥ぎ/Soulflayer》で追放したいカードのため、4枚ずつ。どちらか+呪禁を追放すれば良いため、《忌まわしい回収/Grisly Salvage》の落ちが多少悪いぐらいなら、安定して《魂剥ぎ/Soulflayer》を最強状態で戦場に送り出せる。
どちらも素で唱えることが難しいカードではあるのだが、墓地にしっかり落としておかなければ《魂剥ぎ/Soulflayer》は機能しない。
このデッキは《魂剥ぎ/Soulflayer》を機能させなければ勝てず、サブプランなどをメインボードで用意するのは無意味だと考える。
《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》・《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》の枚数を減らせばブン回る確率は落ちて《魂剥ぎ/Soulflayer》のバリューは落ちるし、8枚の不要牌が入ったデッキでビートダウンを仕掛けるのは得策ではない。
数多く存在するクリーチャーコンボデッキには、サブの勝ち手段として「普通にビートダウンする」が存在するが、それはあくまでデッキのコンボパーツが普通にビートダウンとしても強力なカードだからに過ぎない(例:アブザンカンパニーの《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》
《魂剥ぎ/Soulflayer》デッキでは《魂剥ぎ/Soulflayer》のために、どうしてもデッキに「どうしようもないカード」を入れざるを得なくなる。それならば、コンボを確実に決めることに振り切るのが良いと考えている。
・4《森の女人像/Sylvan Caryatid》
呪禁枠として。《忌まわしい回収/Grisly Salvage》とどちらも持っている場合は《森の女人像/Sylvan Caryatid》から出して3ターン目に《忌まわしい回収/Grisly Salvage》を唱えるとグッド。
マナを増やすことにさほどのメリットはないものの、呪禁カードで使用に耐えうるものとして入っている。
こちらについては後述の《縞カワヘビ/Striped Riverwinder》の方がより強かったため、今は枚数が逆転している。
・3《縞カワヘビ/Striped Riverwinder》
呪禁枠その2にして、青を入れることにした最大の理由。
サイクリングすることで墓地に能動的に呪禁を送り込むことができ、墓地肥やしになるため《魂剥ぎ/Soulflayer》の探査を助け、ついでに《魂剥ぎ/Soulflayer》に辿り着きやすくするというスーパーカード。
《森の女人像/Sylvan Caryatid》の場合は手札にあった時、墓地に落とす手段が必要となるのだが、《縞カワヘビ/Striped Riverwinder》ならば勝手に落ちてくれる。
こちらを4枚にして《森の女人像/Sylvan Caryatid》を3枚にすべきだったため、この後のリストでは《縞カワヘビ/Striped Riverwinder》が4枚になっている。
・4《狂信的扇動者/Fanatical Firebrand》
速攻枠。《魂剥ぎ/Soulflayer》に速攻を付与するのは非常に重要で、《死の影/Death’s Shadow》デッキ相手であればライフをいきなりすべて削り切れるため、重要となってくる。
その速攻クリーチャーの中で最も強力なのが《狂信的扇動者/Fanatical Firebrand》。モダンでは《貴族の教主/Noble Hierarch》、《信号の邪魔者/Signal Pest》をはじめ、多くのタフネス1クリーチャーが存在する。
能動的に墓地に落とせる速攻クリーチャーとして一番強力に感じた。
ちなみに次点で採用しようと考えていた速攻クリーチャーは《ボーマットの急使/Bomat Courier》と《獣呼びの学者/Beastcaller Savant》。
・4《バザールの大魔術師/Magus of the Bazaar》
これは比較的最後の方に決まった1枚。
《魂剥ぎ/Soulflayer》を引きに行くカードがほしく、その中で「手札に来たカードを処理する手段」として優秀だったため、採用。使用感としては可もなく不可もなく。
クリーチャーであることで除去されてしまうという不安はあるものの、除去のために相手がテンポを損なうことは、悪くない。残った時の勝利貢献度の高さから、《航路の作成/Chart a Course》などよりも優先することにした。
・4《ロッテスのトロール/Lotleth Troll》
手札からカードを捨てる手段圏としてそのまま4枚入れていたが、、この枠が最も微妙に感じた。
というのも、「手札に余った《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》や《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》を捨てたい」という場面よりも、《魂剥ぎ/Soulflayer》が引きたいと思う時の方が圧倒的に多かったのだ。
このデッキにはビートダウンとしての価値を《ロッテスのトロール/Lotleth Troll》に求めてはいないし、手札を捨てるだけならば他にいくらでもカードはある。
このカードは後に別のカードへと変わった。
・4《信仰無き物あさり/Faithless Looting》/4《忌まわしい回収/Grisly Salvage》
どちらも強力なカードで、このカードのためだけに赤と緑が入っていると言っても過言ではない。
《魂剥ぎ/Soulflayer》を引き込む手段と墓地にカードを仕込む二つの役割をやってのける。まず抜くことはない。
・1《集団的蛮行/Collective Brutality》
自由枠。
使った感想は可もなく不可もなく。ただ、《ロッテスのトロール/Lotleth Troll》よりはこちらの方が強いと感じた。
■平日大会の結果と改良後のリスト
トロン・ジャンド死の影・ジェスカイコントロールに勝利して結果は3勝0敗。
かなり最初に感じていた不満点は解消されたが、《魂剥ぎ/Soulflayer》を引きたいな、という場面がやはり多かった。
デッキで不要に感じた《ロッテスのトロール/Lotleth Troll》を抜いて、サイドボードをいじったリストがこれ。
メインボード:60
4《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
4《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
4《汚染された三角州/Polluted Delta》
2《湿った墓/Watery Grave》
2《草むした墓/Overgrown Tomb》
1《血の墓所/Blood Crypt》
1《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
1《繁殖池/Breeding Pool》
1《沼/Swamp》
4《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》
4《バザールの大魔術師/Magus of the Bazaar》
4《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》
4《狂信的扇動者/Fanatical Firebrand》
4《魂剥ぎ/Soulflayer》
4《縞カワヘビ/Striped Riverwinder》
3《森の女人像/Sylvan Caryatid》
4《忌まわしい回収/Grisly Salvage》
4《信仰無き物あさり/Faithless Looting》
2《有事対策/Contingency Plan》
2《テイガムの策謀/Taigam’s Scheming》
1《ゾンビの横行/Zombie Infestation》
サイドボード:15
4《思考囲い/Thoughtseize》
3《突然の衰微/Abrupt Decay》
3《集団的蛮行/Collective Brutality》
2《最後のトロール、スラーン/Thrun, the Last Troll》
2《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
1《神無き祭殿/Godless Shrine》
最新のリスト。
《有事対策/Contingency Plan》、《テイガムの策謀/Taigam’s Scheming》は手札こそ増えないものの、《魂剥ぎ/Soulflayer》を探す能力に関しては《忌まわしい回収/Grisly Salvage》と同レベルの強さ。
手札が増えないデメリットは、このデッキでは全く気にならない。というのも、サブの勝ち手段を持たず、《魂剥ぎ/Soulflayer》をとにかく出したいこのデッキでは、手札が何枚だろうとも関係ない。極端な話、手札は0枚でもいいのだ。
そのため、《有事対策/Contingency Plan》と《テイガムの策謀/Taigam’s Scheming》をそれぞれ入れることにした。一応《翻弄する魔道士/Meddling Mage》対策だけども、《魂剥ぎ/Soulflayer》を指定されたら負ける。
サイドボード後は手札も多少重要になる。《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》などがあるため、そこと入れ替える。
ちなみにデッキトップに置いておくと、手札破壊を避けられるため、意外と強力。デスシャドウにはこれでトップに《魂剥ぎ/Soulflayer》を乗せて《思考囲い/Thoughtseize》を避けて勝ったりする。
《ロッテスのトロール/Lotleth Troll》を抜いたことで手札を捨てる手段がないため、《ゾンビの横行/Zombie Infestation》を入れているが、《集団的蛮行/Collective Brutality》でも構わない。一応、先手2ターン目に手札を2枚捨てたい状況がないとも限らないため、入れてみた。4枚一気に捨てられるのは魅力的。
■色の強弱
《魂剥ぎ/Soulflayer》デッキを組む上で考えていた色の強弱とその理由。
これからデッキを組もうと思う際の参考になれば。
1位・黒
《魂剥ぎ/Soulflayer》が入っているため仕方なく。ちなみに《魂剥ぎ/Soulflayer》が青かったら本当に最高で、黒はランキングで4位に落ちる。
2位・赤
《信仰無き物あさり/Faithless Looting》が使用できる赤は青と同列で2位となる。
このカード以外に赤の利点はほとんどないが、それだけで2位になるほど《信仰無き物あさり/Faithless Looting》は強いカード。絶対に入れるべき。
2位・青
そして同列となるのが青。これは《テイガムの策謀/Taigam’s Scheming》ではなく、《縞カワヘビ/Striped Riverwinder》。
呪禁を付与するというのは《魂剥ぎ/Soulflayer》デッキで最も大事なことの一つ。
《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》や《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》を追放しなければ《魂剥ぎ/Soulflayer》を出せないため、除去されたら2枚目を出す、ということはなかなか容易ではない。1枚目を対処されるわけにはいかないのだ。
そのため、呪禁は確実に付与しなければならず、《縞カワヘビ/Striped Riverwinder》は呪禁を付ける手段として最も強力で、それでいて軽い。
このカードを採用できる青は、《魂剥ぎ/Soulflayer》デッキでは必須となる。
3位・緑
そして緑はこの位置。緑で重要なカードは《忌まわしい回収/Grisly Salvage》のみ。極端な話、《森の女人像/Sylvan Caryatid》でなくとも呪禁クリーチャーはなんでも良い。
《忌まわしい回収/Grisly Salvage》も《テイガムの策謀/Taigam’s Scheming》・《有事対策/Contingency Plan》という類似カードがある以上、必須ではない。
《魂剥ぎ/Soulflayer》デッキを考えるのであれば、緑を入れないバージョンも考慮に入れて良いだろう。
4位・白
《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》を上手く使えると面白そう、と考えたものの、基本的に白は弱い。
墓地を肥やしてデッキを掘り進めるカードがないためだ。
■おわりに
魂剥ぎデッキを考えたり回したりした時間は2日ほどだ。これまで魂剥ぎデッキを回したこともない。だからこの記事はプレイガイドやデッキガイドという大それたものではない。
《魂剥ぎ/Soulflayer》はとても特殊なデッキゆえにブラッシュアップの際に色んなカードが選択肢に上がって、またいつもは「コンボデッキで増やすのが好きだった勝ち手段をあえて減らしてコンボのみに絞る」構築をしたのがなんとなく楽しくて、文字にしてみた。
グランプリ・マドリード、グランプリ・京都についてはだいぶデッキが絞れてきたから、次はそのデッキガイドをかければいいなぁ。
コメント
あとは神ジェイス対策として手札破壊が増えているので、隆盛+下落、コラガンの命令も良さそうだなぁと思いました。前者は対戦相手のブロッカーをどかしつつ魂剥ぎを回収するなど小回りが利きますし、後者は単純にカードパワーが高いので腐る場面は少ないです。各モードもこのデッキと相性が良いと思います。
ジャラドの命令はプロトタイプ型に入れてましたがやはり重いので抜けましたw
手札破壊対策ということですが、どちらもアリだと思います。ただメインボードでは、手札破壊の対策よりも、魂剥ぎを引くカードを優先したいと思う場面が多くて、サイド後は手札破壊より墓地対策を考えなければならない、と思いました。
とはいえ、フリースロット(ゾンビの横行あたり)を手札破壊対策にしても良いかもしれません。
仮に手札破壊対策を入れるのであれば、隆盛下落でブロッカーをどかすということはデッキとあっていない(=ビートダウンプランは取れないデッキだから)なので、入れるならコラガンの命令ですかね。最後の望み、リリアナも良いかなと思います。
個人的には、有事対策・テイガムの策謀が手札破壊対策になっていると考えているので、あまり深く考えたことはありませんでした。5-6枚目の有事対策・テイガムの策謀でも手札破壊対策にはなると思います。
ようやく今回のリストでデッキを組もうかなというところの者です。
考察、たいへん勉強になりました。
リンクさせていただきます。また勉強させてください。
とはいっても僕も元々はリヨンのリストで、「8枚体制良いなぁ」と思ったので、リヨンのリストに感謝ですね。
ぜひ組んで楽しんでください。
青白など、遅くて墓地対策が入ってくる相手には素出しが間に合うこともあるので、ハンデスと一緒に入れて、一応素出しプランをとります。土地の枚数を増やせるのも地味に大きいです(素出しも楽ではないので
実際にトリコに当たった時に素出しできたので入れて良かったと思いますが、メインに入れても良いと思います。
今日はグッスリ眠れそうです。ありがとう❗
ただ、手札を1枚捨てることしかできないという点でバザールに劣り、見送りました。
このデッキ、クリーチャーによるコンボデッキなのに、クリーチャーをたくさん入れる旨味がないんですよね(たとえばカンパニーデッキは、カンパニーでめくれるためにもクリーチャーなるべく入れる、といったように
なので、獣相よりもテイガムの策謀などを優先しています。
ジャンドカラーなどにする場合は採用すべきだと思いました。