青黒のススメ #1 なぜ今パーミッションなのか?
2011年12月19日 TCG全般 コメント (12) 俺以外に青黒を使っている人をあまり見ないので、青黒について書こうと決めた。今21::25分。行き当たりばったりになるが、果たしてどこまで書けるのか?期待せずに見ていただきたい。
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青黒コントロールは、近年のスタンダードでは稀に見るほどの、たくさんのカウンターで構築されている。どちらかというと青黒パーミッションと呼べる。
過去の青いデッキを思い起こしてみれば、20枚を超えるカウンターを擁するユーロブルー、青黒コントロールの元祖とも言えるサイカトグなど、いわゆるパーミッションと呼ばれるアーキタイプは確かに存在していた。
そんなパーミッションが昨今、トーナメントから姿を消していたのには、大きな理由がある。打ち消し呪文の弱体化やドローの弱体化は、小さな問題と言ってもいい。
最も大きな原因は、パーマネントのカードパワーが飛躍的に上昇したことにほかならない。
《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》に《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic(WWK)》、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》、これらは全て新枠のカードでありながら、レガシーでは見ないことのほうが珍しいカードとなっている。ズーに至っては、構成次第では旧枠のクリーチャーが一枚も入らない、と言ったほどだ。
上記の三つに漏れず、近頃のパーマネントはとにかく強い。プレインズウォーカーがその最たる例だろう。一度通してさえしまえば、プレインズウォーカーに触る手段が限られているコントロールデッキは、一枚で試合に負けてしまうことも少なくない。最近のデッキには、対処出来ない場合にそれ一枚で負けてしまうカードが、多く含まれているのだ。
通して良いカードといけないカードの比率が、大きく後者に傾いている。確実に「いけないカード」を全てカウンターするためには、カウンターをたくさん入れなければならないし、かといって「いけないカード」が一枚でも通った時のために、それに対処するカードをデッキに入れなければならない。そもそもカウンターをプレイすることのできるタイミングよりも早く出てきてしまうクリーチャーが、あまりにも強すぎるために、対処をしなければそれだけでゲームに敗北してしまう。昔のクリーチャーが、2マナ2/1ブロックに参加できない、に対し、今のクリーチャーは最低でも2マナ2/2で+αの能力が付いてくる。場合によっては、その能力は数ターン放置していたらゲームに敗北するものかもしれない。
結果的に、カードを打ち消すことよりも、確実にクリーチャーを除去出来るデッキのほうが、ゲームに簡単に勝利出来るようになった。これにより、打ち消し呪文は最低限の枚数に抑えられ、その部分が除去へと代わり、パーミッションはコントロールへと変化した。
が、コントロールは新たな問題を抱えることとなった。ローウィンから生まれた新たなカードタイプ、プレインズウォーカーである。
《神の怒り/Wrath of God(POR)》も《破滅の刃/Doom Blade(M12)》も効かず、場に出て生き残り続ければ、そのままゲームに勝利出来てしまう。生き残るには、相手のクリーチャーからプレインズウォーカーを守ってしまえば良い。そしてそもそもコントロールデッキには、クリーチャーが少ない。除去をふんだんに詰め込んだコントロールデッキに、プレインズウォーカーは癌だった。
そしてこのプレインズウォーカーに強いのがカウンターだった。というより、プレインズウォーカーに対処する手段としてクリーチャーを採用しづらい以上、対抗するには打ち消し呪文しかなかったのだ。
そしてここでデッキリストを紹介しよう。
9《島/Island(M12)》
6《沼/Swamp(M12)》
4《闇滑りの岸/Darkslick Shores(SOM)》
4《水没した地下墓地/Drowned Catacomb(M12)》
2《ネファリアの溺墓/Nephalia Drownyard(ISD)》
2《幽霊街/Ghost Quarter(ISD)》
4《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》
3《聖別されたスフィンクス/Consecrated Sphinx(MBS)》
2《墓所のタイタン/Grave Titan(M12)》
4《熟慮/Think Twice(ISD)》
4《マナ漏出/Mana Leak(M12)》
4《雲散霧消/Dissipate(ISD)》
3《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy(ISD)》
3《蔑み/Despise(NPH)》
3《破滅の刃/Doom Blade(M12)》
2《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil(ISD)》
1《ゲスの評決/Geth’s Verdict(NPH)》
このデッキには、8枚の打ち消し呪文が採用されている。確かにパーミッションとしては少ない。そして除去も合計で6枚と、決して多くない。
だがこのデッキは、12枚のカウンターを擁し、10枚の除去がある。それを可能としているのが《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》だ。《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》により、除去の枚数が十分なコントロールデッキでありながら、パーミッションデッキとなることが出来たのだ。
青黒の強さは、とにかくそのカウンターの枚数にある。12枚のカウンターは、ケッシグランの《原始のタイタン/Primeval Titan(M12)》、《原初の狩人、ガラク/Garruk, Primal Hunter(M12)》が戦場に着地することを許さないし、ソーラーフレアの数少ないフィニッシャーをさばききるには十分である。
ビートダウンデッキにも、序盤のクロックをさばいてしまえば、残るはプレインズウォーカーのみ。《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》により、生物であればさばくことは案外難しくない。そしてターンが少しでも経ってしまえば、後はカウンターでどうにでも出来てしまう。コントロールキラーのプレインズウォーカーであれ関係ない。
次回は具体的なカード選択についてを書いて行きます。
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青黒コントロールは、近年のスタンダードでは稀に見るほどの、たくさんのカウンターで構築されている。どちらかというと青黒パーミッションと呼べる。
過去の青いデッキを思い起こしてみれば、20枚を超えるカウンターを擁するユーロブルー、青黒コントロールの元祖とも言えるサイカトグなど、いわゆるパーミッションと呼ばれるアーキタイプは確かに存在していた。
そんなパーミッションが昨今、トーナメントから姿を消していたのには、大きな理由がある。打ち消し呪文の弱体化やドローの弱体化は、小さな問題と言ってもいい。
最も大きな原因は、パーマネントのカードパワーが飛躍的に上昇したことにほかならない。
《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》に《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic(WWK)》、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》、これらは全て新枠のカードでありながら、レガシーでは見ないことのほうが珍しいカードとなっている。ズーに至っては、構成次第では旧枠のクリーチャーが一枚も入らない、と言ったほどだ。
上記の三つに漏れず、近頃のパーマネントはとにかく強い。プレインズウォーカーがその最たる例だろう。一度通してさえしまえば、プレインズウォーカーに触る手段が限られているコントロールデッキは、一枚で試合に負けてしまうことも少なくない。最近のデッキには、対処出来ない場合にそれ一枚で負けてしまうカードが、多く含まれているのだ。
通して良いカードといけないカードの比率が、大きく後者に傾いている。確実に「いけないカード」を全てカウンターするためには、カウンターをたくさん入れなければならないし、かといって「いけないカード」が一枚でも通った時のために、それに対処するカードをデッキに入れなければならない。そもそもカウンターをプレイすることのできるタイミングよりも早く出てきてしまうクリーチャーが、あまりにも強すぎるために、対処をしなければそれだけでゲームに敗北してしまう。昔のクリーチャーが、2マナ2/1ブロックに参加できない、に対し、今のクリーチャーは最低でも2マナ2/2で+αの能力が付いてくる。場合によっては、その能力は数ターン放置していたらゲームに敗北するものかもしれない。
結果的に、カードを打ち消すことよりも、確実にクリーチャーを除去出来るデッキのほうが、ゲームに簡単に勝利出来るようになった。これにより、打ち消し呪文は最低限の枚数に抑えられ、その部分が除去へと代わり、パーミッションはコントロールへと変化した。
が、コントロールは新たな問題を抱えることとなった。ローウィンから生まれた新たなカードタイプ、プレインズウォーカーである。
《神の怒り/Wrath of God(POR)》も《破滅の刃/Doom Blade(M12)》も効かず、場に出て生き残り続ければ、そのままゲームに勝利出来てしまう。生き残るには、相手のクリーチャーからプレインズウォーカーを守ってしまえば良い。そしてそもそもコントロールデッキには、クリーチャーが少ない。除去をふんだんに詰め込んだコントロールデッキに、プレインズウォーカーは癌だった。
そしてこのプレインズウォーカーに強いのがカウンターだった。というより、プレインズウォーカーに対処する手段としてクリーチャーを採用しづらい以上、対抗するには打ち消し呪文しかなかったのだ。
そしてここでデッキリストを紹介しよう。
9《島/Island(M12)》
6《沼/Swamp(M12)》
4《闇滑りの岸/Darkslick Shores(SOM)》
4《水没した地下墓地/Drowned Catacomb(M12)》
2《ネファリアの溺墓/Nephalia Drownyard(ISD)》
2《幽霊街/Ghost Quarter(ISD)》
4《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》
3《聖別されたスフィンクス/Consecrated Sphinx(MBS)》
2《墓所のタイタン/Grave Titan(M12)》
4《熟慮/Think Twice(ISD)》
4《マナ漏出/Mana Leak(M12)》
4《雲散霧消/Dissipate(ISD)》
3《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy(ISD)》
3《蔑み/Despise(NPH)》
3《破滅の刃/Doom Blade(M12)》
2《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil(ISD)》
1《ゲスの評決/Geth’s Verdict(NPH)》
このデッキには、8枚の打ち消し呪文が採用されている。確かにパーミッションとしては少ない。そして除去も合計で6枚と、決して多くない。
だがこのデッキは、12枚のカウンターを擁し、10枚の除去がある。それを可能としているのが《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》だ。《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》により、除去の枚数が十分なコントロールデッキでありながら、パーミッションデッキとなることが出来たのだ。
青黒の強さは、とにかくそのカウンターの枚数にある。12枚のカウンターは、ケッシグランの《原始のタイタン/Primeval Titan(M12)》、《原初の狩人、ガラク/Garruk, Primal Hunter(M12)》が戦場に着地することを許さないし、ソーラーフレアの数少ないフィニッシャーをさばききるには十分である。
ビートダウンデッキにも、序盤のクロックをさばいてしまえば、残るはプレインズウォーカーのみ。《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》により、生物であればさばくことは案外難しくない。そしてターンが少しでも経ってしまえば、後はカウンターでどうにでも出来てしまう。コントロールキラーのプレインズウォーカーであれ関係ない。
次回は具体的なカード選択についてを書いて行きます。
コメント
具体的なカード選択で、サイカトグっぽいファイレクシアの十字軍について熱く語ってほしい^^;
最近、青黒コンを作りたくて参考にさせていただきました。
ただ本人の腕がよくないので、使いこなせていないですが…w
ワタシは、最近復帰した身なので昨今のカードパワーの高さに驚くばかりです。とにかくクリーチャーが強いなという印象です。PWはもちろんですがw
Snapcaster Mageは、今のコントロールの生命線とも言えるカードだと思います。インフレしている今のカード事情を見るにカウンターの切れ目が縁の切れ目のように。
そういう意味で、ゆうやんさんの日記に書いてあることはとても参考になります。次回も期待していますー
はじめまして。ぷいにゅーと申します。マジック歴はアイスエイジからで、ミラディン包囲戦で一度引退し、イニストラードで復帰しました。
私も今のスタンダードは青黒がベストな選択では?と思っていたのですが、なかなかいいアイデアが浮かばず、悶々とする日々が続いていました。(沼と墓所のタイタンとマナ漏出までは辿り着きました。)
ネットを見ればなにか良いデッキリストがあるはず、そう思い私はDiary Noteを中心に調べ始めました。そしたらなんということでしょう、最初に私の目に入ってきたのがゆーやん様のレシピです。
「こんな美しい青黒コントロールが…」思わず私は声を漏らしてしまいました。
「青黒コントロールに瞬唱の魔道士と雲散霧消を入れる」
こんなアイデアがあったとは、まさに目から鱗。
こういう斬新な発想がトーナメントマジックを牽引するということを痛感しました。
出来たら私の青黒コントロールを診断していただきたいのですが、他人様の日記のコメント欄で診断を依頼するのは無粋というもの。その代わりと言ってはなんですが、最後に1つだけ質問をさせてください。煩わしくなかったらで結構ですので、お答えいただければ幸いです。
ゆーやん様、青黒コントロールにタッチ緑でダングローブ長老を入れるというアイデアをどう思われますか?
長文失礼しました。
これにて失礼させていただきます。
はじめまして。ぷいにゅーと申します。マジック歴はアイスエイジからで、ミラディン包囲戦で一度引退し、イニストラードで復帰しました。
私も今のスタンダードは青黒がベストな選択では?と思っていたのですが、なかなかいいアイデアが浮かばず、悶々とする日々が続いていました。(沼と墓所のタイタンとマナ漏出までは辿り着きました。)
ネットを見ればなにか良いデッキリストがあるはず、そう思い私はDiary Noteを中心に調べ始めました。そしたらなんということでしょう、最初に私の目に入ってきたのがゆーやん様のレシピです。
「こんな美しい青黒コントロールが…」思わず私は声を漏らしてしまいました。
「青黒コントロールに瞬唱の魔道士と雲散霧消を入れる」
こんなアイデアがあったとは、まさに目から鱗。
こういう斬新な発想がトーナメントマジックを牽引するということを痛感しました。
出来たら私の青黒コントロールを診断していただきたいのですが、他人様の日記のコメント欄で診断を依頼するのは無粋というもの。その代わりと言ってはなんですが、最後に1つだけ質問をさせてください。煩わしくなかったらで結構ですので、お答えいただければ幸いです。
ゆーやん様、青黒コントロールにタッチ緑でダングローブ長老を入れるというアイデアをどう思われますか?
長文失礼しました。
これにて失礼させていただきます。
ファイクルはいいよね!Caw全盛期の時の青黒でサイドに4枚とってた!《血統の守り手/Bloodline Keeper(ISD)》のほうが《ファイレクシアの十字軍/Phyrexian Crusader(MBS)》より強いから、前者を選んでたんだよね。次の日記で少し触れるかも。
>せがーるさん
初めまして。参考にしていただけると嬉しい限りです。
《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》自身現代の凄まじいインフレを表すカードなのですけどもねw
リンクかえさせていただきました。
>ぷいにゅー
これ何かのコピペなの?
なぜパーミッション型をとっているのかをあまり考えず使っていましたが
この解説を見てパーミッション型の理由を理解しました。
よくよく考えれば強迫のような良ハンデススペルのスタン落ちにより
青黒コントロールがカウンターを増やすのは必然だったのかもしれません。
次回カード別の解説を書かれるということで、
次回も読ませていただきたくリンクさせて頂きましたのでよろしくお願いします。
初めまして。
デッキ構築が上手くなるコツは、「なぜこのカードが入っているかを考える」ことであると思います。勝ったデッキレシピを、その構築されたものを分解していくことで、それがどのような意図で採用されているか、なぜこの枚数なのか、を理解することが出来れば、逆に組み立てることも出来るはずです。
青黒が失って痛かったのは、一つは1マナハンデスですね。青黒は1ターンに一枚しか序盤はカードをプレイできないため、手数で負けてしまうことが多いですから。蔑みを採用した一番の理由は、手数を増やしたかったためです。これは次のエントリにも書きますが。
リンク返させていただきますー。
少なくともネザーゴーより後の時代のデッキだと思うのですが。
その通りですねwドヤ顔で書いたわりに穴だらけで申し訳ない。