マジシャンきっくーをはじめとした個性的なプレイヤー揃いの吉祥寺アメニティでも、ひときわ異彩を放つ二人が、向かい合って座ることとなった。
 池山はガンダムウォーを主にプレイしながらマジックも嗜む珍しいプレイヤーで、そのプレイスタイルはとにかく長考。今日の使用デッキは赤緑の新鮮な肉デッキ。トリッキーな動きの多いこのデッキを回すのに池山が長考する姿は既に目に浮かぶ。
 そして池山と対峙する成田は、吉祥寺の最古参で、とにかくマジック一筋である。吉祥寺フライデー以外の大会に参加することはあまりないものの、ファイナルズ予選を突破したこともあるプレイヤーだ。成田のプレイもなんと池山と同じく、とにかく長いことで知られる。成田のデッキは、これまた長考する場面が多く生まれそうな、バントカラーのクロックパーミッション。

 果たしてこの二人の試合は50分で終わるのか?そんな心配をよそに、早速行われるマリガンチェックでの二人の長考。
 結局そのオープニングハンドを双方がキープし、ゆっくりと勝負の幕が上がった。

GAME 1

 極楽鳥の鏡打ちで始まった第一ゲームは、池山が素早く相手の極楽鳥を産卵の息で焼き鳥にしたことで新鮮な肉デッキが優勢になった。一方的にマナクリーチャーを焼かれた成田は、首を振って天界の列柱をタップイン。これでも1tにセットした剃刀境の茂みとで三色は確保できている。

 池山は怒り狂う山峡のせいで2ターン目に出し損ねた目覚めの領域を置き、続くターンにキーカードである獣使いの昇天をプレイする。これに対し、使い所がないと判断したか呪文貫きを成田は合わせた。もちろんトークン一体を犠牲にしながらこの2マナを払い、無事着地させる。
 このままでは昇天に必要な七つのカウンターがあっという間に溜まってしまうのだが、ここで成田が場に出したのは刃砦の英雄。

 今度は逆に回答を迫られる側になった池山。たっぷりと時間を掛け、四枚の土地と極楽鳥からエルドラージの碑をプレイし、0/1から1/2ダークスティールとなったトークンを二体立たせる。
 今回はあまり悩まずに成田は復讐蔦を戦場に追加させると、刃砦の英雄とともに攻撃を仕掛ける。英雄から生み出された二体のトークンを落とし子トークンでブロック。
 エルドラージの碑の維持コストを支払い…なんと池山はドローゴー。訝しむ成田。
 手札の枚数を聞いたり、マナを数えてはみるものの、あまり役に立たない。なにせ手札はたくさんあるし、マナは落とし子トークンを含めて七マナあるのだ。

 意を決して、成田はシルヴォクの模造品をプレイから即起動し、エルドラージの碑を破壊、刃砦の英雄と復讐蔦で攻撃した。
 が、待ってましたとばかりに池山はまず刃砦の英雄へと産卵の息を打つ。そして生み出された落とし子トークンと元から戦場にいた二体を全て生贄に捧げ、新鮮な肉をプレイ。落とし子の肉を喰らって出てきたビーストが、刃砦の英雄と復讐蔦、兵士トークンをそれぞれブロックする。

 このビッグプレイで一気に盤面をひっくり返した池山は、残ったビーストと極楽鳥で成田へ攻撃し、昇天のカウンターを2とし、追加の極楽鳥を戦場へ。
 再び獣使いの昇天への対応を余儀なくされた成田がここで出したのは、静寂の守り手、リンヴァーラ。これによって極楽鳥と落とし子トークンが沈黙するのだが…
 彼女が守る静寂は、昇天した獣使いが上げた雄叫びによって、成田の17点のライフとともに一瞬で吹き飛んだ。

池山1-0成田


GAME 2

 成田の活発な野生林から始まった第二ゲームは、獣相のシャーマンが二ターン目に戦場に出て、しかもそれが池山に対処されなかったことで、一方的なものになるであろう未来が既に見え始めた。
 戦隊の鷹によって獣相のシャーマンの弾を確保した成田は早速弾丸を放ち、新鮮な肉デッキにとってはもはや弾ではなく爆弾級のカードである、静寂の守り手、リンヴァーラをサーチした。
 このターンエンドに戦隊の鷹へ産卵の息を打ち込み、自分のターンで群れの誕生、巣の侵略者と召喚し、パーマネントの数では上回ってみせる池山。

 だが成田の出す静寂の守り手、リンヴァーラがあまりにも強い。
 リンヴァーラは落とし子トークンを生贄に捧げ、新鮮な肉によりトークンを生み出すというこのデッキのコンセプトを根底から否定しているのだ。

 手札に控える二枚の新鮮な肉が泣いている。なにせリンヴァーラが静寂を守ってさえいなければ、4×2の八体のビーストが一瞬にして出るのである。
 悔しそうにターンを終える池山を尻目に、成田は絶好調。天界の列柱をセットして4マナをオープンなままターン終了を告げると、池山の渾身のトップデッキ、獣使いの昇天を瞬間凍結でカウンター。更に獣相のシャーマンで復讐蔦が捨てられ、太陽のタイタンが手札に加わる。

 太陽のタイタンによって次々と墓地の生物たちが光を浴びて戦場に戻ってくると、唯一池山が優っていたクリーチャーの数まで、あっという間に逆転されてしまうのだった。

池山1ー1成田


GAME 3

 ここで池山は痛恨のダブルマリガン。個々のカードパワーが低く、アドバンテージを取る手段が皆無である新鮮な肉デッキとしては厳しいスタートとなった。
 
 そしてダブルマリガンの影響で土地を三枚並べることしかできない池山に、悪夢のような成田の攻勢が襲った。

 すなわち、三ターン目の静寂の守り手、リンヴァーラである。

 ゲーム2のようにこのリンヴァーラになす術なく敗北するかと思われたその時、絶対絶命のピンチに池山が引いたのはなんと内にいる獣!!だがこれは出さずに、手札に控えていたコジレックの捕食者をプレイする。
 成田は落ち着いてリンヴァーラで攻撃し、極楽鳥を追加。土地を立ててターンを返す。いかにもカウンターのありそうな構え。
 池山は長考。ドローしたのは土地ではなく、新鮮な肉だった。リンヴァーラの支配下では意味をなさないと言っていい呪文。
 虎の子の、内にいる獣をプレイするか否か。池山が考えているのは無論このことだ。場には4マナ。呪文貫きをケアすることが出来ない。
 そして意を決して1マナを残して内にいる獣をリンヴァーラへ向けて打ち込む。本当にケアするならさっきのターンにコジレックの捕食者ではなく、内にいる獣を打つべきだったのだ。前のターンに打たないということは、呪文貫きはないことを前提にプレイするということだ。一貫性を持ったプレイである。後は成田が持っているかどうか。

 当然というべきか、池山の願いは届かず、成田の手札からは呪文貫きが。池山は力なくターンを返す。
 
 これで生き残ったリンヴァーラの守る静寂が長く続くものと思われたが、それもほんの束の間。僅か3ターンの間だった。

 リンヴァーラと天界の列柱が池山のライフを0にするのに、たった3ターンあれば良かったのだ。

池山1-2成田

コメント

マンダム/闇の腹心
2011年9月24日12:59

わかりやすく面白いです。
これからも楽しみにしてます!

ゆうやん
2011年9月24日19:11

ありがとうー。PWCでも機会があれば書くことあるかもしれないから、もしとることがあったらよろしく!

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