アメニティドリーム吉祥寺で行われるフライデーナイトマジックは、いつも決まった数人のメンバーと、一見さん数人の、十数人で行われることがほとんどだ。そして今回のFNMもその例に漏れることなく、六つないし七つのテーブルで行われ、その横にはいつものように六人ドラフトの卓が立っていた。
 吉祥寺にはドラフトが大好きなプレイヤーが多く、FNMがあろうとなかろうと、週に四回以上は常連による卓が立つのだ。そして筆者が目をやった対戦テーブルには、本来であればドラフト卓に座るべき人物がデッキをシャッフルしていた。無論、60枚のデッキを。
 市原である。ヰチの愛称で関東で親しまれる彼は、大のビートダウン好きであり、白好きだ。その東大生の頭脳をフル回転させ、対戦相手を白や緑の生物で殴り倒して行くのが彼のスタイル。そんな市原のデッキはキャラを守った白単だでそれもなんと、誰もが夢見る白単鋼と白単アーマーのハイブリッドである。
 そしてそんな白単アーマー鋼と相対するのが、ヴァンガードTVにてテレビデビューを果たしてしまった、マジシャンきっくーこと、菊池である。そのあまりの手札シャッフルの速さに、お笑い芸人に「マジシャンっすかwww」と煽られてしまった菊池。そんなマジシャンは赤青の欠片の双子コンボを操る。
 コンボ対ビートダウンは一般的にコンボが有利なのか世の摂理。市原の頭脳が相性を覆すか。

GAME1

 土地の二枚しかない手札に思案、コンボパーツは両方なしという初手を菊池は力強くキープし、その思案が最初にプレイされた呪文となった。
 詐欺師の総督に思案が二枚と、土地はないもののいずれ手に入れることが出来そうな内容。これを菊池は残し、ドローで思案を手札に、コンボの片割れである詐欺師の総督をトップへと残した。
 市原は平地から大霊堂のスカージと、まずまずの立ち上がりだが、最速四ターンキルの双子相手に最高のスタートとは言えない。
 二回目の思案では先ほど見ていた思案とハリマーの深み、沸騰する小湖と、マナトラブルの不安が解消される。そして手札に持っていた二枚目の島をセットする。
 ここで戦場には呪文滑りが現れ、コンボを牽制されるも、手札には二枚の乱動への突入。気にせずドローし、フェッチで山をサーチしつつ、再度思案を。これが二枚の土地と、役に立ちづらいジェイス・ベレレンだったことでシャッフルを余儀なくされ、引いたカードは…ジェイス・ベレレン。
 島、山と立っている菊池に対し、市原はあまり悩まずに、大霊堂のスカージでアタックすると、きらめく鷹を場に出し、スカージを回収し、それを再度プレイ。
 ここで菊池のアクションが島をおくのみ。何やらきな臭い菊池のセットゴーに意も介さず、市原は鍛えられた鋼をプレイし、全クリーチャーをレッドゾーンに送り込む。この鍛えられた鋼に乱動への突入が打ち込まれ、ここで対象を呪文滑りに移すことが可能だった市原だか、これもまたあまり悩まずにあっさりと手札に戻した。
 菊池のアクションが貫く幻視の祭殿を設置するのみだったことを受けて、市原は先ほどと同じ土地をタップし、同じカードをプレイすることを選ぶ。そして再び通る鍛えられた鋼。今回は菊池が戦闘前に詐欺師の総督を出してダメージおさえようとするも、代わりに横に滑ったのは呪文滑り。
 既に乱動への突入を使ってしまった菊池は、呪文滑りに対処するよりも早く敗北の谷底へと滑り落ちてしまった。

市原1-0菊池

GAME2

 またもや思案から幕を開けた菊池は、次ターンにも定業によってライブラリーを掘り進め、羽ばたき飛行機械、信号の邪魔者、鋼の監視者という陣営を前に、貫く幻視の祭殿を置いた。
 ここで市原がプレイしたのは、双子コンボへの回答である呪文滑りで、鋼の監視者によってクロックが跳ね上がる。しかもよじれた映像で除去できないサイズに呪文滑りが上がったことで、対策カードが乱動への突入ぐらいしかない。
 だが、菊池はここで完璧な答えを手札に隠し持っていた。まさにこれしかないというスーパーカード。それは核への突入。
 これによりクロックとコンボへの対策を一気に失ってしまった形の市原。懸命に攻撃を続けるものの、菊池は初手からずっと出番を待っていた詐欺師の総督をプレイすると、これまたオープンハンドにあった双子の欠片をエンチャントしたのだった。

市原1-1菊池

GAME3

 市原はこのマッチ初めて一ターン目に呪文を唱え損ねる。その代わりというわけではないだろうが、菊池は山から渋面の溶岩使いをプレイした。生物デッキにとっては悪魔のような一枚だ。市原にとってもこのカードはかなり厳しいであろう…はずだった。
 ここで場に出したのがコーの火歩きでなければ。しかも島をセットしてエンドする菊池の前に、更にもう一体コーの火歩きが立ちふさがる。
 そして市原がコーの火歩きの横に呪文滑りを並べると、菊池は苦い顔。ここまで菊池は、渋面の溶岩使い以外の呪文を一切唱えていないのだ。しかも唯一プレイしたスペルは役立たず。苦悶の表情を浮かべるのも頷ける。
 菊池はまたもドロー、土地セットのみでターンを終えるが、今回は戦闘時に詐欺師の総督をプレイし、自分の土地を起こし、カウンターや除去をにおわせる。二体のコーの内の一体が通り、これで菊池のライフは12に。
 市原は一気に勝負をつけるべく、更に戦場にコーの空漁師とコーの火歩きを追加すると、菊池がターン終了時に呪文滑りに唱えた乱動への突入にはしっかりと歯止めを合わせる。
 これによって勝つために必要なカードが二種類になった上、二ターンクロックという刃を喉元に突きつけられた菊池…だったのだが、ドローによってあっさり乱動への突入を引き、後は欠片の双子のみのリーチ状態。
 市原はドローしてノータイムで攻撃を仕掛け、菊池のライフを6まで落とし、土地を全て立ててターンを返す。ターン終了時に菊池が呪文滑りに打ち込んだ乱動への突入には…何もなし。つまり歯止めは持っていない。
 後は欠片の双子さえ引けば!祈るような面持ちの菊池のドローは土地。だがまだ通常ドローが残っている。土地を起こして菊池が引いたのは…

 思案!
 一枚一枚慎重にめくり、赤いカードとめぐり合うことを夢見る。そしてその三枚に赤いカードは見つかった!そう、そこには渋面の溶岩使いが。
 
 デッキをシャッフルし、もう一度神頼みが始まる。そして市原はここで笑いながら手札を公開した。そこには市原の戦場と同じ平地が広がっている。横にはさっき戻した呪文滑り。引けば勝てる。平地が全て詐欺師の総督の双子によって埋まるのだ。ここで引けば。

 菊池ドロー。

 引いたのはハリマーの深み。

 セットランドし、ライブラリーを見ると、そのトップには欠片の双子が!

 そして菊池の手札に、このターンに欠片の双子を手に入れる手段はなかった。
 
 市原2-1菊池

 市原win!

コメント

needless@TSR広報担当
2011年9月12日23:56

おお、参考になります(w

ゆうやん
2011年9月13日7:43

会場にパソコン持ってければ一番なんすけどねw

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