LMC決勝 有田VS芹澤
2010年9月15日 読書 多くのmtgプレイヤーにとって今最もホットな話題といえばなんだろうか。
プロツアーアムステルダムでの日本勢の不調の原因を、当人達に聞くことで浮き彫りにしていき、様々な波紋を広げている記事、「日本勢は何故勝てなかったのか」はすごく今ホットな話題である。これをタイトルにして日記を書けば勝手にアクセス数が増える、と冗談で言われるぐらいなのだから、それだけ多くのプレイヤーの関心を集めている話題なのだろう。
が、そのことよりも更にたくさんの人が注目しているものがある――そう、新大型エキスパンション、ミラディンの傷跡/SCARS OF MIRRODINである。新たなカードが発表されるたびに「これは強い」「これは高い」などと様々な批評が行われる。これ自体は大型であり小型であれ、必ずプレイヤー間の話題の中心となるだろう。
しかし大型エキスパンションに限っては、ただ発売するだけではない。ローテーションによって、環境を作り上げていたブロックの一つが、スタンダードでは使用できなくなるのだ。
そして今回、アーティファクトが大暴れすることが既に予想できるミラディンの傷跡がスタンダードに参戦するのと入れ替わる形で退場するのは、対照的な多色のブロック、アラーラ・ブロックだ。
このアラーラ・ブロックにおいて一番印象に残っているカードは何かと言われたら、多くのプレイヤーがこう答えるはずだ――《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》と。
スタンダードの様々なデッキで使われ続けるだけでなく、先にも話題に上がったエクステンデッドで行われたプロツアーアムステルダムでも使用されたこのカードに、良かれ悪かれ思い入れが強い人も多いだろう。そして辛酸を舐めさせられた多くのプレイヤーは「やっと落ちるのか」と感じるだろう。
が、スタンダードにやってくるなり数々のデッキに引っ張りだこだった《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》とは対照的に、エルドラージ覚醒が発売してからやっと日の目を見た、アラーラ再誕のカードがあった。
《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara(ARB)》である。
《エルドラージの徴兵/Eldrazi Conscription(ROE)》という超強力オーラがエルドラージ覚醒で出現したことにより、一気に紙から神へと生まれ変わったアラーラ再誕のこのレアは、今やトップメタといっても過言ではない徴兵バントの要だ。
《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》に抱く印象とは違い、使用される機会がかなり増えたとはいえ、「もう落ちてしまうのか」と言う気さえする《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara(ARB)》。国立オリンピック記念青少年総合センターで行われているLMCでも、多くのプレイヤーが、0/1に2/1に、はたまた5/5絆魂にと、エルドラージの力を備わせていた。
決勝テーブルで苦笑しながらライブラリーをシャッフルする有田隆一も、そんなプレイヤーの一人だった。使用するデッキはもちろん徴兵バント。
「とみーさん(関東のプレイヤー、富井翼)からもらったレシピをちょっといじっただけ」
とバントについては語る言葉は少ないが、
「あずにゃんとにゃんにゃんとかいうらしいです。これは絶対言って欲しいみたいです」
としっかり富井の願いを叶えてあげる有田。果たして富井が本当にそう言ったのかは謎だが、それはおいておこう。
そんな有田が苦笑する理由が、対戦相手である芹澤のデッキが、上陸ボロスだからだ。
アラーラ・ブロックのカードがふんだんに使用されている有田のデッキとは反対に、芹澤のデッキはその名のとおり、ゼンディガーブロックの能力である上陸をテーマにしたもので、そのほとんどがゼンディガー以降のカードで構築されている。その完成系はゼンディガー発売時点で出来上がってはいたが、Magic2011からの新鋭もしっかりと組み込まれているようで、非常に楽しみである。
相性では上陸ボロスの芹澤が有利なのは、有田の表情からだけでも汲み取れるが、そこは四度のプロツアーサンデー経験を持つ男。果たして有田は相性を乗り越えられるのか。
GAME 1
ダイスロールで小さい目を出した有田が先手を取るが、オープンハンドは気に入らず即座にマリガン。続いて配られた緑マナと二枚の《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara(ARB)》、《水蓮のコブラ/Lotus Cobra(ZEN)》に《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary(CON)》というハンドには、しぶしぶキープをする。
先に動いたのは後手の芹澤で、平地から《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx(ZEN)》という立ち上がり。厳しいといった表情で有田は《水蓮のコブラ/Lotus Cobra(ZEN)》でターンを返す。
芹澤がセットした土地が《湿地の干潟/Marsh Flats(ZEN)》だったことで軽やかなステップを踏んだネコは有田に4点のダメージを刻むのだが、後続が続かない。
《水蓮のコブラ/Lotus Cobra(ZEN)》が生き残ったことで有田のテンションはかなり上がり、「悪斬引け!」と言いながらドローすると、本当にそのドローが《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M11)》。《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs(ZEN)》をセットしつつ凶悪な天使を戦場へ送り出す。この天使はターン終了時に土地へと変わってしまうが、これにより待望の二色目である平地をサーチする。
二枚目となる平地しかサーチできないフェッチランドを置いた芹澤は、再びネコを成長させ、レッドゾーンへ。有田のライフをちょうど半分まで削ると、《コーの空漁師/Kor Skyfisher(ZEN)》をプレイし、仕事を終えた《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx(ZEN)》を回収し、再び場に出す。
芹澤が白単であるうちになんとか場を逆転させておきたい有田だったが土地を引けず、仕方なくフルタップで4/4の《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary(CON)》を送り出す。この間に《水蓮のコブラ/Lotus Cobra(ZEN)》が二回芹澤を噛み、ライフは有田10-14芹澤に。
ここで芹澤のトップデッキが《乾燥台地/Arid Mesa(ZEN)》。ようやくと言った様子の嘆息とともに山をサーチするも、プレイしたのは白いカード、《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant(ALA)》。またもや二回の上陸を行った《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx(ZEN)》は宙を飛び、有田のライフは1へ。
と、一見一方的な芹澤のゲームに見えるが、実はここでのドローが、ライフを払わないでかつアンタップイン可能な土地であれば、《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara(ARB)》で勝ちなのだ。恐るべきエルドラージの力。が、《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M11)》で既に運を使ってしまったか、ドローは土地にあらず。手札と盤面を見渡して生き残りのプランを模索するも、やがてサイドボードに手をかけたのだった。
GAME 2
先手は有田だが先にクリーチャーを展開したのは芹澤。それも平地からの《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx(ZEN)》で、違うことといえば、有田のセットした土地が島ということだけだ。そして有田がプレイした《水蓮のコブラ/Lotus Cobra(ZEN)》が除去されず、四点のダメージを受けるというところも同じ。セットされた土地は《ぐらつく峰/Teetering Peaks(ZEN)》のため、赤マナは早くも芹澤も確保することができたのだが。
二枚の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》に《ロウクスの戦修道士/Rhox War Monk(ALA)》、《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M11)》という高カロリーな手札から、有田は平地をセットして青マナを出し、ジェイスを着地。そして即座にステップを踏むネコを手札に送り返す。
このジェイスは《忘却の輪/Oblivion Ring(ALA)》でリムーブされるも、一ターンを費やしてしまった芹澤。この間に有田は二枚目のコブラを呼び出し、《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove(M11)》をセットして生み出した二つの青マナで、二枚目のジェイスを戦場へ。そして即座に《渦まく知識/Brainstorm(ICE)》。
すぐに対処しなければならないプレインズウォーカーなのは芹澤も重々承知なのだが、フルタップで《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos(ALA)》をプレイし、《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx(ZEN)》と《ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker(ZEN)》をサーチするのみ。その間に有田は2回目の渦巻く知識をした後、《ロウクスの戦修道士/Rhox War Monk(ALA)》と《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary(CON)》を追加。
この二体が二枚の《流刑への道/Path to Exile(CON)》で土地へと変わるも、毎ターンの渦巻く知識によって攻め手を失わない有田は、《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M11)》を追加。これに意地の三枚目の《流刑への道/Path to Exile(CON)》を打ち込み、ようやく一息と言った様子の芹澤だったが、土地をサーチしないという有田のプレイに、眉をひそめる。それでもフルアタックを敢行し、ようやくジェイスを戦場から退けたが、有田がライブラリーに温めていたのは《エルドラージの徴兵/Eldrazi Conscription(ROE)》。滅殺によって二枚の土地と半分以上のライフを失った芹澤は、たくさん抱えた手札で場のカードを片付けた。
GAME3
このマッチ初の先手となった芹澤は三回目の七枚キープをするも、一ターン目にはお供はなし。一方二度目のマリガンの有田は、今度はこっちの番と言わんばかりに《貴族の教主/Noble Hierarch(CON)》を呼び出す。が、二ターン目の芹澤の《地震/Earthquake(M10)》によって、召喚酔いの解けぬまま墓地へと送られる。
有田の初動も一ターン目こそ良かったものの、二ターン目は《セジーリのステップ/Sejiri Steppe(WWK)》をタップイン、三ターン目に芹澤が《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx(ZEN)》、《戦隊の鷹/Squadron Hawk(M11)》と展開したところに、《未達への旅/Journey to Nowhere(ZEN)》という、微妙な動き。
一枚の鷹によって呼び出された二枚の鷹を送り出し、芹澤はターンを終了。有田は二枚目のフェッチランドを起動しつつ《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary(CON)》を呼び出すも、この4/4には飛行はついていないため、鷹の三点を喰らい―、しかもX=4の地震によって一方的に破壊されてしまう。この時点でライフは既に9。そして有田のデッキではまったく止まらない飛行が三体。
半ば諦めかけたような表情にも見える有田は、苦笑しながら二枚目のタップイン平地である《セジーリのステップ/Sejiri Steppe(WWK)》を置いてターンを返す。そしてキッカー込みの《ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker(ZEN)》が追加され、鷹とともにレッドゾーンへ送り出されたところで、二枚の鷹に《流刑への道/Path to Exile(CON)》と《糾弾/Condemn(M11)》を打ち込む。残りはたったの5。
と、ここでの有田のドローは何と《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》。すぐにでもプレイしたいところなのだが、実は有田、ずっと《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara(ARB)》を持っており、相手が除去も火力も持っていないことに賭け、フルタップで出そうと考えていたのだ。
そこにやってきたジェイス。悩みに悩む有田。
そして出した答えはフルタップでの《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara(ARB)》召喚だった。
芹澤はゆるやかにライブラリーからカードを一枚引き、そして――動きを止めた。「《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara(ARB)》に飛行がついているか」と質問をし、ついていないという答えが返ってくると、再び黙って考え始める。この時、二枚の地震によって5点のダメージを受けていた芹澤のライフが、ちょうど今は寝ている《天界の列柱/Celestial Colonnade(WWK)》+賛美+エルドラージの徴兵の合計値と同じだったのだ。ライフは三倍近くあるが殴れない芹澤は、結局フェッチランドだけを置いてターン終了。
有田はこのゲーム、初めての攻撃宣言を行う。この一回の戦闘でライフ14点と《戦隊の鷹/Squadron Hawk(M11)》を失った芹澤に、更に追い討ちを掛ける有田の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》。芹澤のライブラリートップを見た後、笑顔で言った。
「そのままで♪」
有田Win!
プロツアーアムステルダムでの日本勢の不調の原因を、当人達に聞くことで浮き彫りにしていき、様々な波紋を広げている記事、「日本勢は何故勝てなかったのか」はすごく今ホットな話題である。これをタイトルにして日記を書けば勝手にアクセス数が増える、と冗談で言われるぐらいなのだから、それだけ多くのプレイヤーの関心を集めている話題なのだろう。
が、そのことよりも更にたくさんの人が注目しているものがある――そう、新大型エキスパンション、ミラディンの傷跡/SCARS OF MIRRODINである。新たなカードが発表されるたびに「これは強い」「これは高い」などと様々な批評が行われる。これ自体は大型であり小型であれ、必ずプレイヤー間の話題の中心となるだろう。
しかし大型エキスパンションに限っては、ただ発売するだけではない。ローテーションによって、環境を作り上げていたブロックの一つが、スタンダードでは使用できなくなるのだ。
そして今回、アーティファクトが大暴れすることが既に予想できるミラディンの傷跡がスタンダードに参戦するのと入れ替わる形で退場するのは、対照的な多色のブロック、アラーラ・ブロックだ。
このアラーラ・ブロックにおいて一番印象に残っているカードは何かと言われたら、多くのプレイヤーがこう答えるはずだ――《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》と。
スタンダードの様々なデッキで使われ続けるだけでなく、先にも話題に上がったエクステンデッドで行われたプロツアーアムステルダムでも使用されたこのカードに、良かれ悪かれ思い入れが強い人も多いだろう。そして辛酸を舐めさせられた多くのプレイヤーは「やっと落ちるのか」と感じるだろう。
が、スタンダードにやってくるなり数々のデッキに引っ張りだこだった《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》とは対照的に、エルドラージ覚醒が発売してからやっと日の目を見た、アラーラ再誕のカードがあった。
《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara(ARB)》である。
《エルドラージの徴兵/Eldrazi Conscription(ROE)》という超強力オーラがエルドラージ覚醒で出現したことにより、一気に紙から神へと生まれ変わったアラーラ再誕のこのレアは、今やトップメタといっても過言ではない徴兵バントの要だ。
《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》に抱く印象とは違い、使用される機会がかなり増えたとはいえ、「もう落ちてしまうのか」と言う気さえする《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara(ARB)》。国立オリンピック記念青少年総合センターで行われているLMCでも、多くのプレイヤーが、0/1に2/1に、はたまた5/5絆魂にと、エルドラージの力を備わせていた。
決勝テーブルで苦笑しながらライブラリーをシャッフルする有田隆一も、そんなプレイヤーの一人だった。使用するデッキはもちろん徴兵バント。
「とみーさん(関東のプレイヤー、富井翼)からもらったレシピをちょっといじっただけ」
とバントについては語る言葉は少ないが、
「あずにゃんとにゃんにゃんとかいうらしいです。これは絶対言って欲しいみたいです」
としっかり富井の願いを叶えてあげる有田。果たして富井が本当にそう言ったのかは謎だが、それはおいておこう。
そんな有田が苦笑する理由が、対戦相手である芹澤のデッキが、上陸ボロスだからだ。
アラーラ・ブロックのカードがふんだんに使用されている有田のデッキとは反対に、芹澤のデッキはその名のとおり、ゼンディガーブロックの能力である上陸をテーマにしたもので、そのほとんどがゼンディガー以降のカードで構築されている。その完成系はゼンディガー発売時点で出来上がってはいたが、Magic2011からの新鋭もしっかりと組み込まれているようで、非常に楽しみである。
相性では上陸ボロスの芹澤が有利なのは、有田の表情からだけでも汲み取れるが、そこは四度のプロツアーサンデー経験を持つ男。果たして有田は相性を乗り越えられるのか。
GAME 1
ダイスロールで小さい目を出した有田が先手を取るが、オープンハンドは気に入らず即座にマリガン。続いて配られた緑マナと二枚の《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara(ARB)》、《水蓮のコブラ/Lotus Cobra(ZEN)》に《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary(CON)》というハンドには、しぶしぶキープをする。
先に動いたのは後手の芹澤で、平地から《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx(ZEN)》という立ち上がり。厳しいといった表情で有田は《水蓮のコブラ/Lotus Cobra(ZEN)》でターンを返す。
芹澤がセットした土地が《湿地の干潟/Marsh Flats(ZEN)》だったことで軽やかなステップを踏んだネコは有田に4点のダメージを刻むのだが、後続が続かない。
《水蓮のコブラ/Lotus Cobra(ZEN)》が生き残ったことで有田のテンションはかなり上がり、「悪斬引け!」と言いながらドローすると、本当にそのドローが《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M11)》。《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs(ZEN)》をセットしつつ凶悪な天使を戦場へ送り出す。この天使はターン終了時に土地へと変わってしまうが、これにより待望の二色目である平地をサーチする。
二枚目となる平地しかサーチできないフェッチランドを置いた芹澤は、再びネコを成長させ、レッドゾーンへ。有田のライフをちょうど半分まで削ると、《コーの空漁師/Kor Skyfisher(ZEN)》をプレイし、仕事を終えた《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx(ZEN)》を回収し、再び場に出す。
芹澤が白単であるうちになんとか場を逆転させておきたい有田だったが土地を引けず、仕方なくフルタップで4/4の《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary(CON)》を送り出す。この間に《水蓮のコブラ/Lotus Cobra(ZEN)》が二回芹澤を噛み、ライフは有田10-14芹澤に。
ここで芹澤のトップデッキが《乾燥台地/Arid Mesa(ZEN)》。ようやくと言った様子の嘆息とともに山をサーチするも、プレイしたのは白いカード、《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant(ALA)》。またもや二回の上陸を行った《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx(ZEN)》は宙を飛び、有田のライフは1へ。
と、一見一方的な芹澤のゲームに見えるが、実はここでのドローが、ライフを払わないでかつアンタップイン可能な土地であれば、《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara(ARB)》で勝ちなのだ。恐るべきエルドラージの力。が、《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M11)》で既に運を使ってしまったか、ドローは土地にあらず。手札と盤面を見渡して生き残りのプランを模索するも、やがてサイドボードに手をかけたのだった。
GAME 2
先手は有田だが先にクリーチャーを展開したのは芹澤。それも平地からの《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx(ZEN)》で、違うことといえば、有田のセットした土地が島ということだけだ。そして有田がプレイした《水蓮のコブラ/Lotus Cobra(ZEN)》が除去されず、四点のダメージを受けるというところも同じ。セットされた土地は《ぐらつく峰/Teetering Peaks(ZEN)》のため、赤マナは早くも芹澤も確保することができたのだが。
二枚の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》に《ロウクスの戦修道士/Rhox War Monk(ALA)》、《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M11)》という高カロリーな手札から、有田は平地をセットして青マナを出し、ジェイスを着地。そして即座にステップを踏むネコを手札に送り返す。
このジェイスは《忘却の輪/Oblivion Ring(ALA)》でリムーブされるも、一ターンを費やしてしまった芹澤。この間に有田は二枚目のコブラを呼び出し、《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove(M11)》をセットして生み出した二つの青マナで、二枚目のジェイスを戦場へ。そして即座に《渦まく知識/Brainstorm(ICE)》。
すぐに対処しなければならないプレインズウォーカーなのは芹澤も重々承知なのだが、フルタップで《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos(ALA)》をプレイし、《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx(ZEN)》と《ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker(ZEN)》をサーチするのみ。その間に有田は2回目の渦巻く知識をした後、《ロウクスの戦修道士/Rhox War Monk(ALA)》と《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary(CON)》を追加。
この二体が二枚の《流刑への道/Path to Exile(CON)》で土地へと変わるも、毎ターンの渦巻く知識によって攻め手を失わない有田は、《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M11)》を追加。これに意地の三枚目の《流刑への道/Path to Exile(CON)》を打ち込み、ようやく一息と言った様子の芹澤だったが、土地をサーチしないという有田のプレイに、眉をひそめる。それでもフルアタックを敢行し、ようやくジェイスを戦場から退けたが、有田がライブラリーに温めていたのは《エルドラージの徴兵/Eldrazi Conscription(ROE)》。滅殺によって二枚の土地と半分以上のライフを失った芹澤は、たくさん抱えた手札で場のカードを片付けた。
GAME3
このマッチ初の先手となった芹澤は三回目の七枚キープをするも、一ターン目にはお供はなし。一方二度目のマリガンの有田は、今度はこっちの番と言わんばかりに《貴族の教主/Noble Hierarch(CON)》を呼び出す。が、二ターン目の芹澤の《地震/Earthquake(M10)》によって、召喚酔いの解けぬまま墓地へと送られる。
有田の初動も一ターン目こそ良かったものの、二ターン目は《セジーリのステップ/Sejiri Steppe(WWK)》をタップイン、三ターン目に芹澤が《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx(ZEN)》、《戦隊の鷹/Squadron Hawk(M11)》と展開したところに、《未達への旅/Journey to Nowhere(ZEN)》という、微妙な動き。
一枚の鷹によって呼び出された二枚の鷹を送り出し、芹澤はターンを終了。有田は二枚目のフェッチランドを起動しつつ《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary(CON)》を呼び出すも、この4/4には飛行はついていないため、鷹の三点を喰らい―、しかもX=4の地震によって一方的に破壊されてしまう。この時点でライフは既に9。そして有田のデッキではまったく止まらない飛行が三体。
半ば諦めかけたような表情にも見える有田は、苦笑しながら二枚目のタップイン平地である《セジーリのステップ/Sejiri Steppe(WWK)》を置いてターンを返す。そしてキッカー込みの《ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker(ZEN)》が追加され、鷹とともにレッドゾーンへ送り出されたところで、二枚の鷹に《流刑への道/Path to Exile(CON)》と《糾弾/Condemn(M11)》を打ち込む。残りはたったの5。
と、ここでの有田のドローは何と《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》。すぐにでもプレイしたいところなのだが、実は有田、ずっと《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara(ARB)》を持っており、相手が除去も火力も持っていないことに賭け、フルタップで出そうと考えていたのだ。
そこにやってきたジェイス。悩みに悩む有田。
そして出した答えはフルタップでの《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara(ARB)》召喚だった。
芹澤はゆるやかにライブラリーからカードを一枚引き、そして――動きを止めた。「《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara(ARB)》に飛行がついているか」と質問をし、ついていないという答えが返ってくると、再び黙って考え始める。この時、二枚の地震によって5点のダメージを受けていた芹澤のライフが、ちょうど今は寝ている《天界の列柱/Celestial Colonnade(WWK)》+賛美+エルドラージの徴兵の合計値と同じだったのだ。ライフは三倍近くあるが殴れない芹澤は、結局フェッチランドだけを置いてターン終了。
有田はこのゲーム、初めての攻撃宣言を行う。この一回の戦闘でライフ14点と《戦隊の鷹/Squadron Hawk(M11)》を失った芹澤に、更に追い討ちを掛ける有田の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》。芹澤のライブラリートップを見た後、笑顔で言った。
「そのままで♪」
有田Win!
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